最高裁判所第三小法廷 昭和24年(新れ)272号 判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人佐々木秀雄同伊藤仁の上告趣意は、末尾に添えた書面記載の通りである。
上告趣意第一点について。
所論の点については、上告人は原審において控訴趣旨として主張しなかったところであって原判決は何ら判断を加えていないのである。従って、この点に関する主張は上告の理由として許されないばかりでなく、被告事件の起訴後第一回公判期日までの間に被告人の保釈に関する決定をした簡易裁判所判事がその事件につき第一審の審理判決をしたとしても憲法第三七條第一項に違反するものでないことについては、当裁判所が判決において示すところである(昭和二四年新(れ)第一〇四号昭和二五年四月一二日大法廷判決)。されば、いずれの点からしても論旨は理由がない。
同第二点について。
論旨において主張するところは、刑訴法第四〇五條に規定されている事由に当らないので、これを上告の理由とすることはできないし、なお本件は同法第四一一條により原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとも認められない。
よって刑訴法第四〇八條に従い主文の通り判決する。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)